農業現場において、生成AIの活用は急速に進んでいますが、その恩恵を「現場の判断」にまで落とし込めている農家はまだ一握りです。株式会社農情人は、AIを単なる事務効率化のツールとして終わらせず、販売・経営・商品開発といった農業の核心的な課題解決に直結させる「農家AI伴走支援サービス」を開始します。
このサービスは、AIの操作方法を教えるだけの講座ではなく、約1カ月間という期間をかけて農家と共に課題を掘り下げ、AIへの「問い」を設計する伴走型の支援です。2026年7月11日より、第1弾として3経営体を対象とした無償モニターの募集が開始されます。AIを導入したいが、自分の農園の課題をどうAIに伝えていいか分からないと感じている生産者にとって、非常に重要な実証プログラムとなります。
■ 農業AI活用における「事務効率化」と「現場判断」の大きな溝
農林水産省の「令和8年農業構造動態調査」では、基幹的農業従事者の平均年齢が67.7歳と高齢化が進み、担い手不足が深刻な課題となっています。この状況下でAIの活用は現実的な選択肢ですが、当社の独自調査「農業AI活用実態調査2026」では、AIを「記録・文書・事務作業の効率化」に利用する層が最多である一方で、「栽培管理・現場判断」に活用している生産者はわずか13.7%(51人中7人)にとどまるという結果が出ました。
この乖離を生んでいる原因は、農家の「ツールの知識不足」ではありません。むしろ、自分の農園特有の課題を言語化し、それをAIが処理可能な「問い(プロンプト)」へと変換するプロセスを一人で完結させることの難さにあります。このプロセスは単発の講座や教材では習得しにくく、現場の状況を深く理解した上での「伴走」が必要であるという仮説に基づき、本プログラムは実証的な支援を行っています。
■ 3つの領域で展開する「課題の言語化」から始まる伴走支援
本サービスでは、初回ヒアリングを通じて農園の課題を具体的に言葉にし、1カ月間で到達できる目標を1つ合意した上で支援を開始します。例えば「店頭POPの完成」「温湿度データの自動記録開始」「作業マニュアルの作成」など、実効性の高い目標を設定します。支援の柱となるのは以下の3領域です。
- ①販売・マーケティング:AIを活用した店頭POPや商品コピーの制作、Instagramの運用・リール動画制作、ECサイト構築、キャンペーン設計など、販路拡大のための訴求力を強化します。
- ②栽培・経営のデータ化:温湿度データの自動記録や積算温度の可視化、品種別原価などの経営データの可視化を支援。AIを「経営参謀」として活用するための運用設計を行います。
- ③商品開発・情報発信:AIとの壁打ちによる新商品開発のアイデア出し、取り組みのプレスリリース化、SNS発信のストーリー構築など、付加価値の創造を支援します。
最大の特徴は「作って終わり」にしない点です。支援期間終了後も、農家自身が自走してAIを使い続けられる状態を目指し、現場への定着までを支援範囲としています。
■ 実証データが示す「勘と経験」から「データに基づく判断」への変革
これまでの伴走支援では、すでに具体的な成果が報告されています。例えばトマト農家の事例では、市販の温湿度センサーを導入して栽培環境を自動記録し、AIで制作した店頭POPを設置した結果、価格改定後も前年を上回る販売個数を確保しました。参加農家からは「勘と経験に頼っていた管理が、数字で確認する運用に変わった」という大きな変化の声が上がっています。
また、米農家や養鶏農家では、経営データの整理や商品開発のストーリー構築にAIを活用。単にプロンプトを工夫するだけでなく、「AIに何をデータとして入力するか」という構造的な整理を行うことで、業務改善の提案から実装までのスピードが加速しました。特に養鶏農家では、AIとの壁打ちで開発した「全卵ジェラート」のストーリーを軸に、プレスリリースやSNS連動キャンペーンを展開し、商品の背景までを伝える導線を構築することに成功しています。
■ 【3農家限定】無料モニター募集の条件と参加前に確認すべき実費負担
今回の第1弾モニタープログラムは、販売・経営・商品開発に課題を持つ農家・農業法人を対象としており、AIの利用経験は問いません。応募は2026年7月31日(金)23:59まで受け付けています。選考制となるため、専用フォームに「いま解決したい課題」を1つ記入して応募する形となります。
参加にあたっての重要なポイントは以下の通りです。
- 無償提供の条件:取り組みの過程(試行錯誤を含む)を『農業AI通信』の連載記事として公開することへの協力が必要です。※匿名や屋号のみでの公開相談も可能です。
- 今後の費用:モニター終了後は、10万円(税込)での有償提供を予定しています。
- 実費負担の有無:生成AIの有料プラン利用や、温湿度センサーなどの機材導入にかかる実費は、参加者の負担となります。
■ JIKKAI視点:AIを「道具」から「経営のパートナー」へ昇華させるための第一歩
今回の「農家AI伴走支援サービス」の最大の見どころは、AIを単なる「便利なツール」として導入するのではなく、農家の「意思決定の質」を向上させるためのパートナーとして位置づけている点です。多くの農家がAIを導入しても「結局何に使えるのか」で止まってしまうのは、現場の課題をAIが理解できる形に翻訳するプロセスが欠落しているからです。
参照元: PR TIMES
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